第4回東京工業大学COIシンポジウムを開催 (2019年11月25日)
第4回目となる東京工業大学COIシンポジウムを大岡山キャンパスのレクチャーシアターで開催しました。 会場には企業や大学、COI関係者のみならず一般の方々も含め約150名の方々に参加いただきました。 今回のシンポジウムでは、本拠点が目指す社会を理解していただくために、地球の声“サイレントボイス”を「感じて、伝えて、行動する」というテーマの下、 社会実装に近い「場のサイレントボイス」及び「動物のサイレントボイス」に関連する企業や研究者の方からご講演をいただくことといたしました。
会場のレクチャーシアター
会場のレクチャーシアター
まず開催にあたって主催者として東京工業大学の益一哉学長より挨拶がなされ、本拠点COIに対する取り組みと現状について紹介致しました。
次にご来賓の文部科学省・学術政策局長の菱山豊様より、現在政府で取り組んでいる政策課題やCOIプログラムの社会的意義についてご説明をいただくともに、本拠点COIの成果及び社会実装への期待のお言葉をいただきました。
次いでCOIプログラムビジョン2リーダーの小池聡様から、人口増加、地球環境といった観点から捉えたSociety 5.0において当COI拠点は新しい概念を提唱しているとのご認識を示され、
その観点から本シンポジウムの講演や議論を期待しているとのお言葉をいただきました。
東京工業大学 益学長 文部科学省 菱山局長 ビジョン2小池ビジョナリーリーダー
東京工業大学 益学長
文部科学省 菱山局長
ビジョン2小池ビジョナリーリーダー
次に廣井プロジェクトリーダーより、本拠点のコンセプトである地球インクルーシブセンシングとは何か、また本拠点がどういった社会を目指しているかについて紹介し、今回ご講演していただくテーマとの関連性について説明いたしました。
講演ではセッション1として、『場』のサイレントボイスとの共感というテーマでモデレータである東工大三宅教授より、人間社会におけるコミュニケーションの重要性について説明しました。
すなわち「場」のインクルーシブセンシングの展開として、「場」のリアルタイム可視化システム、すなわちSyncViewerを紹介しました。
またこのシステムに使われている身体同調といった非言語コミュニケーションが、VRなどのサイバーフィジカルシステムにおいて社会的プレゼンスや信頼性などを生み出す可能性について言及いたしました。
廣井プロジェクトリーダー モデレーター 東工大 三宅教授
廣井プロジェクトリーダー
モデレーター 東工大 三宅教授
本テーマにおける企業からの最初の講演は、村田製作所の前田氏より「『場』のセンシングが生み出す新しいビジネス」という題目で行われました。 企業で実際に行なわれている『場』のセンシング技術について、自社で開発した製品や実際に人事面接などに使われている実例紹介のほか、感覚の数値化やその理論づけなどについて話していただきました。
村田製作所 前田氏によるプレゼンテーション
村田製作所 前田氏
質疑応答
次に「感じて、伝えて、行動する」というテーマに関連してサイバー空間からフィジカル空間へのフィードバック事例として、デジタルアートの制作で世界的に有名なチームラボの堺氏よりプレゼンテーションを行っていただきました。 チームラボで行っている活動を紹介するとともに、これまで制作された作品をいくつかを映し出して、その作品の背景やボーダレスなどといったコンセプトを分かり易く解説していただきました。 国内のみならずニューヨークや上海で公開されている映像作品がスクリーンに映し出され、人の心に訴える美しいデジタルアートの世界を鑑賞することが出来ました。
チームラボ 堺氏によるプレゼンテーション
チームラボ 堺氏
チームラボ プレゼンテーション
セッション1の後、ポスターセッションの時間を設けて参画企業の方々からポスター展示、またエッジデバイス等の展示を行いました。
ポスターセッション
ポスターセッション
休憩の後セッション2として、動物のサイレントボイスとの共感というテーマでモデレータである東工大伊藤准教授より、世界全体から見た視点で、 食事たんぱく質の割合、家畜飼料生産の状況、放牧地の割合という観点で持続的な酪農・畜産とは何かという問題提起から、 その解決策として倫理性と経済性の両立させるため、アニマルウェルフェアや環境に配慮した畜産、またITによる高効率化された畜産を目指すべきとの考えが示されました。
モデレーター 東工大 伊藤准教授
モデレーター 東工大 伊藤准教授
伊藤准教授によるプレゼンテーション
農研機構の矢用氏から「日本のアニマルウェルフェアを考える」と題して、欧米を中心に世界の大手食品企業はアニマルウェルフェアでブランド化を図っていること、 また規制面においても産卵鶏のケージフリー化、放牧の義務化などの動きを紹介するとともに、日本におけるアニマルウェルフェアに対する課題や対応などをご説明いただきました。 また会場からの質問に答えて、食品コストと衛生面との関係など活発な質疑応答がなされました。
農研機構 矢用氏によるプレゼンテーション
矢用氏によるプレゼンテーション
農研機構 矢用氏
次に畜産における北海道帯広市のベンチャー企業であるファームノート阿部氏より、「飼育牛管理システムの市場開拓」という題目で日本における畜産の現状、ならびにファームノートで行っているIoTやクラウド技術を用いた飼育牛に対する管理システムを説明していただきました。 このシステムにより、これまで経験や勘で対処していた課題・不安を具体的に改善したこと、またデータに基づいた牧場マネジメントシステムなどを話していただきました。
ファームノート 阿部氏によるプレゼンテーション
ファームノート 阿部氏
阿部氏によるプレゼンテーション
研究リーダーの若林教授から、各講演者から提示された課題などを整理するとともに、地球インクルーシブセンシング研究拠点で行っているIoT/AIエッジデバイスなどを含めた研究開発活動を紹介しました。
最後に東工大の渡辺治理事・副学長より、多数の方々の参加していただいたことへの感謝の意を表し、COI活動ならびに社会実装に向け大学として出来る限り努力していくことを表明し、シンポジウムを閉会致しました。
若林研究リーダーによるまとめ 渡辺理事・副学長挨拶
若林研究リーダーによるまとめ
渡辺理事・副学長挨拶
この度のシンポジウムに際し、ご多忙の中ご登壇いただきました講演者の方々、ならびにご来場いただきました数多くの参加者及び関係各位に厚くお礼を申し上げます。