第2回東京工業大学COIシンポジウムを開催 (2016年11月24日)
11月24日に、第2回目の東京工業大学COIシンポジウムを開催しました。 会場の大岡山キャンパスのレクチャーシアターには、企業や大学、COI関係者など、約200人が参加しました。 これは、文部科学省・科学技術振興機構が進める「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」のビジョン2が掲げる「豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ)」の一環として、 その活動を広く一般の方々に知っていただくものです。 今回は、「ハピネス共創社会 人と技術の新たな共生を求めて」をテーマに掲げました。 また新たな試みとして、会場の誰もが参加できる全体討議の場を設けました。
会場のレクチャーシアター
会場のレクチャーシアター
シンポジウムは、東工大『以心電心』ハピネス共創研究推進機構の小田研究リーダーの司会で進められました。 三島東工大学長の開会挨拶に引き続き、COIプロジェクト全体を推進している方々に来賓のご挨拶をいただきました。 文部科学省総括官の神代氏、COI STREAMガバニング委員長の小宮山氏、同ビジョン2ビジョナリーリーダーの横田氏です。 COIの社会的意義やこれまでの東工大COI活動への評価等も含め、今後の活動への期待が述べられました。
司会の小田研究リーダー 開会挨拶の三島学長
文部科学省総括官 神代氏 COIガバニング委員長 小宮山氏 ビジョン2ビジョナリーリーダー 横田氏
司会の小田研究リーダー
開会挨拶の三島学長
文部科学省総括官 神代氏
COIガバニング委員長 小宮山氏
ビジョン2ビジョナリーリーダー 横田氏
議講演の部では、最初に当機構の秋葉機構長が「東工大COIの活動状況」について、4つのサービス(空気・行間を読むサービス、多言語意訳サービス、時空を超えるコミュニケーションサービス、つながり共創空間サービス)を中心に説明しました。 続いて国立研究開発法人情報通信研究機構監事の土井氏から「ユーザーの気持ちを考えた技術開発」という題で、これまで経験した豊富なヒューマンインターフェース研究について説明があり、東工大COIについて貴重なコメントもいただきました。
東工大 秋葉機構長 情報通信研究機構 土井氏
東工大 秋葉機構長
情報通信研究機構 土井氏
次に、東工大リベラルアーツ研究教育院長の上田教授が「『生きる意味』と技術」と題し、幸せは人により、社会により、文化によって異なるものであり、技術がどのようにかかわっていくかが重要と指摘されました。 東工大社会情報流通基盤研究センター長の大山教授は「個人情報保護法と『以心電心』プロジェクト」の中で、個人情報保護についての欧米の例を示しながら、日本での望ましいあり方について言及されました。
東工大 上田教授 東工大 大山教授
東工大 上田教授
東工大 大山教授
更に、東工大環境・社会理工院の野原教授の講演「サイエンスカフェで語る、人と技術のよい関係―コミュニケーションを起こす翻訳とは」では、 一般の方々に『以心電心』のコンセプトを紹介し自由に討論するサイエンスカフェの経験をもとに、「意訳」の重要性や、幸せとは効率を求めるものでなく生活の充実に寄与するものとの見解が示されました。 KDDI(株)技術開発本部長の宇佐見氏は、「もっと自由に、もっと優しく、もっと楽しく:コミュニケーションの未来を求めて」の中で、将来の社会のニーズと技術開発の可能性を示しながら、未来社会への展望を述べられました。
東工大 野原教授 KDDI 宇佐見氏
東工大 野原教授
KDDI 宇佐見氏
最後の講演は、富士ゼロックス(株)イグゼクティブ・アドバイザーで国連グローバル・コンパクト ボードメンバーでもある有馬氏の「2030年に向けて世界的な優先課題および世界のあるべき姿」です。 国連グローバル・コンパクトは、世界の諸問題 (気候変動、エネルギー、貧困等) に取り組み、2030年までに共通のゴールを目指しています。 これに対応して、企業活動は事業のすべてのプロセスに責任を持ち、持続的な経営とイノベーションを目指すべきであると主張されました。
富士ゼロックス 有馬氏
引き続き、全体討議を行いました。これは、会場からの質問に対し、COI関係者や講演者が意見を述べ、お互いの理解を深めたり、新たな方向性を見出すヒントを探るのが目的です。 ご意見の中には東工大COIが目指す4つのサービスがあれば人は本当に幸せになれるのだろうか、かえって真意が伝わらず誤解を生じるのではないか、 『以心電心』が単なるコミュニケーションツールではなく創造性を生み出すことにつながるようなことも検討すべきではないか、 実際の生活の場で人を助けようとした場合その善意が相手にうまく伝わるのか、等々いろいろな意見をいただきました。これらの貴重な意見を今後の研究に生かしていきたいと思います。
全体討論の様子
最後に、東工大理事の安藤理事・副学長が挨拶に立ち、COI活動に対する大学としての支援と参加者への感謝の意を表し、シンポジウムを閉会しました。
閉会挨拶をする安藤理事・副学長