EISESiV 東京工業大学

EISESiV
EISESiVコンソーシアム
東京工業大学

NEWS

2023年10月30日

第2回EISESiV・iSyMsコンソーシアム合同シンポジウム報告

 EISESiV・iSyMsコンソーシアム合同シンポジウムを10月30日に大岡山キャンパス石川台三島ホールにて開催しました。昨年に引き続き2回目となりますが、今年は「サイレントボイスが支える私たちのウェルビーイング」をテーマとして講演及び討議をおこないました。


東京工業大学 科学技術創成研究院 大竹院長

 まず大竹院長の挨拶に続き、EISESiVコンソーシアム及びiSyMsコンソーシアムを代表して株式会社電通国際情報サービスの岡田様より、また豊橋技術科学大学の高橋教授より次の題目で基調講演をしていただきました。

  基調講演:
  ・ビル/空間のサイレントボイス
    株式会社電通国際情報サービス オープンイノベーションラボ 岡田 敦 シニアプロデューサー
  ・MEMSマルチモーダル分子認識センサによる生体計測・環境計測
    豊橋技術科学大学 次世代半導体・センサ科学研究所 高橋 一浩 教授

 岡田シニアプロデューサーから、オープンイノベーションラボでは人とロボットとともに暮らす未来を想像し、そのような世界の実現に向けた研究開発を行っており、これまで開発してきたロボットの例として、ビル内で動く家具や椅子などが紹介された。これには通常のセンサーを用いる他、人の表情や言語モデルを用いてコミュニケーションの誘発を促したり、動く植栽では植物自身が光を求めて移動し光合成を得るなど、空間まで含めたサイレントボイスを高度に理解し最適な状態を実現する例が紹介されました。少子高齢化が進み働き手が少なくなる中で、ロボットを最大限活用する仕組みを実現し、労働力不足の解決からあらゆる社会問題の解決に貢献することが目標とのことであった。
 豊橋技術科学大学の高橋教授はバイオセンシング・環境センシングの研究に携われ、講演ではマイクロマシン(MEMS)技術で作製したバイオセンサについて紹介がなされた。光干渉型表面応力バイオセンサを開発され、従来のセンサ技術と比べて高感度で携帯・小型化が可能とのことである。応用例としてCOVID-19などウィルス検知ではPCR検査と比べ非常に高感度で小型軽量であるため、空気中のウイルスまで検知できることから感染予防にも役立つとのことであった。


電通国際情報サービス 岡田シニアプロデューサー

豊橋技術科学大学 高橋教授

 基調講演に続き、さらに各コンソシャムのメンバーから次の2件の講演がなされました。

  ・失明予防に向けたスマートレンズ ― 材料・デバイス・システムの最新動向
    早稲田大学 理工学院 大学院情報生産システム研究科 三宅 丈雄 教授
  ・リスクを共同で管理する直示的フィードバックシステム
    東京工業大学 環境・社会理工学院 西條 美紀 教授

 早稲田大学の三宅教授は失明予防というテーマで特に失明原因の第1位となっている緑内障を対して、その原因となる眼圧を測定するコンタクトレンズを開発している。眼圧は従来眼圧計を用いて測定されているが、その眼圧をコンタクトレンズを用いて簡便に測定する方法が紹介された。課題となるのは測定した値を外部に出力する、すなわち無線通信に必要な電力をコンタクトレンズ内で生み出す手段として画期的な無線給電方式が紹介された。その応用として糖尿病に対する測定でグルコース濃度の測定に向けても研究開発を進めているとの報告がなされた。
 東京工業大学の西條教授から、現在日本で大きな課題となっている介護施設の人手不足に焦点をあて、車椅子に取り付けらた加圧センサで事故防止につなげる取り組みについてこれまで実証実験を行ってきた成果が紹介された。しかし人手不足問題を解決するには問題定義から見直し、フィードバック方法の改善を踏まえ、本人・職員・他利用者による多重のリスク管理体制が重要と示唆がなされた。さらに今後の高齢者支援の方向として、共助の概念を取り入れるサービスプラットフォームの構築が必要などといった新しい提案がなされました。


早稲田大学 三宅教授

東京工業大学 西條教授

 その後引き続いて、「ウェルビーイングを実現するサイレントボイスとは」という問いかけをテーマにしてアクセンチュア㈱ の清水ディレクターの下、ご講演された先生方と討論いたしました。
 清水ファシリテーターから、人に気づいてもらいたいサイレントボイス、また人に気付いてもらう方法という切り口で各講演者からの回答を導きだし、それをもとにウェルビーイングにつなげる方法、すなわち個人の生きがいを高めるためにサイレントボイスをどう役立てるかなど、様々な観点から議論しました。
 最後に若林教授より、本シンポジウムの講演及び討論に対するまとめを紹介するとともに、併せてEISESiVコンソーシアム及びiSyMsコンソーシアムの概要や現状について説明され、各コンソーシアムとも新規入会への勧誘もなされました。



アクセンチュア㈱ 兼 東工大 清水 健 氏

討論の様子

 当日は大学や研究機関、企業から会場で30名余り、またZoomによる参加が40数名とたくさんの方が参加していただき厚く御礼申し上げます。 本シンポジウムで出された意見を踏まえ、EISESiVコンソーシアムおよびiSyMsコンソーシアムそれぞれの活動に役立てていきたいと思います。引き続き本活動を継続していく所存ですので、更なるご理解・ご協力をお願いいたします。

関連リンク:EISESiV・iSyMs合同シンポジウム案内ちらし